生命保険は貯蓄があれば不要という論調のネット記事をしばしば目にします。保険はマイナスの宝くじだから、購入せずに貯蓄をしておく方が良いという考え方のようです。
保険の専門家でもない、よく分からない人が書いていることも多いですが、果たして本当にそうなのでしょうか?
治療費として300万程度出費できる医療(がん)保険は不要
もしも一家の貯蓄が300万しかなく、子どもの大学進学費用と家族のがんの治療費が同時に必要に迫られた場合、どちらか諦めなきゃいけなくなりますよね・・・
治療費でなくなっても平気!そのために貯めてあるし!というのは、家族みんなのお財布ではなく、「治療費専用財布に300万」貯まった場合に限ってのことです。保険のことが分からず、適当なこと言ってるFPの言うこと真に受けてごっちゃに考えてはいけませんよ。
遺族年金+収入で生活できるなら、死亡保険は不要
遺族年金には2つあって、
〇18歳未満の子どもがいる配偶者(または子ども)に支給される遺族基礎年金と
〇死亡した人に生計を維持されていた妻・子・孫、55歳以上の夫・父母に支給される遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金
18歳未満の子どもが1人いる場合 100万3600円
18歳未満の子どもが2人いる場合 122万7900円
18歳未満の子どもが3人いる場合 130万2700円
遺族厚生年金 ※会社員・公務員しかもらえません
平均報酬月額25万⇒40万6139円
平均報酬月額30万⇒48万7366円
平均報酬月額35万⇒56万8594円
(標準報酬月額は、毎年7月に4月、5月、6月の給料の平均額を用いて国が決めています。区切りのよい幅で区分した31種類があり、大幅な給料の増減がない限り、1年間(9月~翌年8月まで)固定されます。)
仮に子ども2人、平均報酬月額30万の家庭の場合は171万5266円、月々14万2938円となります。この全額が使えるわけではなく、ここから国民年金保険料、国民健康保険料、介護保険料を納めることになり、手元に残るのは10万程度になります。
持ち家で、団体信用生命保険に入っていた場合は、住宅ローンがなくなる可能性はありますが、賃貸の場合は手元の10万から家賃を払ってしまえば、ほとんど手元に残らないことが分かると思います。
足りない分を働いて補うこともできるので、一馬力になったとき、どのくらい(時間的に・所得的に)働けるかを考えておく必要があります。一馬力じゃ子どもと満足な生活ができないかもしれない・・・と不安になるのであれば、その分の金額だけ生命保険に入ればよい、ということになります。
その際には、何年間必要かを考えて加入すると、より保険で無駄にお金を使わずに済みますよ。
まとめ
ネット記事は一部当てはまっても、大筋では間違っているということが往々にしてあります。どこの誰が書いたかもわからない記事だったり、ゴーストライターの場合もありますしね。
何でも鵜呑みにせずに、正しいかどうかの判断をしたうえで、自分に当てはまるのか検証する必要があります。
保険とは、こんな事態になったら(または何年後に)いくらもらえる、という契約をする金融商品です。総額いくら払っていくらもらえるのかを理解して加入しないと大損しかねない、高額商品です。どれだけ損を減らせるかは、設計する人が持っている商品と、その人の設計次第なのです。
脅しや、愛だのお守りだの、よく分からない幻想を語る保険営業には、くれぐれもご注意ください。